医療法人啓林堂クリニック 泌尿器科皮膚科 福岡県福岡市早良区原8-2-26 電話092-873-7877

性病 性感染症

啓林堂クリニック泌尿器科皮膚科 福岡市早良区

性的接触によってうつる病気を 性病 Sexal transmitted disease (STD)といいます。最近では性感染症 Sexal transmitted infection (STI) と呼ばれることがあります。
 福岡市は大きな歓楽街を抱えるためか、全国的にみても性病の患者数が多い地域と考えられています。その増加も危惧されています。また性交渉体験の低年齢化によって未成年への感染拡大も問題となっています。
 性病のの伝達手段は主に性交渉ですが、菌の存在は性器に限られるものではありませんので注意が必要です。基本的に粘膜と粘膜の接触によるものが、性病の感染経路と考えられます。外性器同士の接触以外に、例えば、口腔と外性器の接触であれば口腔粘膜へ、出産時に子宮や膣に菌が存在すれば出生児の目の粘膜(結膜)へ感染することになります。
 性病(性感染症)の中で、比較的頻度が高く代表的な疾患である、淋病(淋菌感染症)、クラミジア感染症、非淋菌性非クラミジア性尿道炎、性器ヘルペス、尖圭コンジローマについて、これらの症状や検査、治療について解説します。

淋病、淋菌感染症

 性病の中でよく名前が知られているのが淋病です。淋菌 Neisseria gonorrhoeae という菌の感染症で、女性は膣から進入して子宮頚管炎に、男性は尿道炎が多くみられます。感染が拡大すれば、前立腺炎や精巣上体炎になることも。また、性交渉の多様化によって、口腔内への感染(淋菌性咽頭炎)を起こす場合もあります。
 男性の淋菌性尿道炎(淋病)の症状は、排尿痛、尿道からの膿の分泌、尿道口の炎症がみられます。感染から症状が出るまでの潜伏期間は短く、1週間以内。もっとも全例が当てはまるわけではなく、症状がはっきりしない場合や、潜伏期間が長いこともあります。
 淋病を診断するには、膿の中に淋菌が存在することを顕微鏡で確認しますが、判定できない場合もあるため、PCR法やSDA法などの診断方法も用いられます。PCR法やSDA法は淋病の菌検出には非常に優れた方法で、特にSDA法は咽頭感染淋菌の検出にも有効です。ただ、どの薬剤が菌に対して有効かを判断する薬剤感受性を調べることはできません。
 最近の淋菌は薬剤に対して抵抗力が強くなってきており(薬剤耐性)、淋病を治療する上で大きな問題となっています。過去に治療薬として使用されてきた飲み薬の多くは無効で、そのため治療の第一選択は注射を用いることが多くなってきました。静脈注射と筋肉注射の方法があります。

クラミジア感染症

 性病の中で、患者数が増加しているのがクラミジア感染症です。淋病と同様に、女性は子宮頚管炎に、男性は尿道炎になりますが、クラミジア性咽頭炎、クラミジア性精巣上体炎(副睾丸炎)などもみられます。
 淋病に比べて、症状が軽い場合が多く、軽い排尿時の不快感、さらさらの分泌物、無症状の場合もあります。潜伏期間は1週間前後、長くて3週間以上の場合もあります。また症状が軽いために、感染に気づくのが遅れたり、気づかない場合もあり、クラミジア感染症が拡大する原因のひとつとなっています。
 クラミジア性尿道炎の診断には顕微鏡検査は無効なので、PCR法やSDA法を用います。男性は尿検査、女性はおりもの検査になります。SDA法の精度は高く信頼される検査法ですが、結果が出るまでに1-2日を要します。短時間で検査する方法もありますが、正確な結果が出ない場合があり注意が必要です。
 なお、保健所では血液検査による抗体検査が実施されていますが、この方法は治癒後も陽性反応が持続したり、男性では感染しても陰性になる場合もありますので、判定には注意が必要です。
 治療は、淋菌と違って飲み薬がよく効きます。約7日間の服用が必要ですが、1回4錠飲めばよい薬もあります。

非淋菌性、非クラミジア性尿道炎

 尿道炎は、感染した菌によって淋菌性、クラミジア性と分類されますが、最近、淋菌でもないクラミジアでもない尿道炎が増加しています。
 その原因については、マイコプラズマ等による感染と考えられていますが、不明な点も多くあります。健康保険では、尿中のマイコプラズマを検査することは認められていません。
 症状は尿道炎に見られる排尿時痛や膿の分泌などですが、比較的軽症の場合が多いようです。
 治療は、クラミジア感染症に準じて治療します。

性器ヘルペス

 単純ヘルペスウィルスの感染が原因です。初感染、初発、再発に分けられます。
 男性では、男性性器の皮膚に痛みを伴ない、赤くなった皮膚の中に、小さな水疱が多発します。水疱は潰れてじくじくになり、その後かさぶた様になります。そけいリンパ節が腫れたり(股の付け根のぐりぐり)、熱を出すこともあります。性器以外にも、大腿、お尻、肛門周囲にもできることがあります(異所性ヘルペス)。
 性器ヘルペスの初発では症状が重篤になる場合があり、抗ウィルス薬の点滴を行う場合があります。再発では一般に初発より症状が軽い場合が多く(それでも痛い)、抗ウィルス薬の飲み薬あるいは塗り薬を使用します。
 皮膚の赤みや水疱があるときは、接触によりヘルペスウィルスが感染しやすいといわれ注意が必要です。しかし無症状のときでもヘルペスウィルスが出ている場合もあり問題となっています。1年間に6回以上繰り返す再発性性器ヘルペスの場合は、予防のための内服治療が保険適応となっています。

尖圭コンジローマ

 性病の中でウィルスが原因となる代表的な疾患で、”ヒト乳頭腫ウィルス” が感染の原因です。ヒト乳頭腫ウィルスは、女性の子宮頸癌、男性の陰茎癌と関連があるといわれますが、発癌と関連があるウィルスのタイプは悪性型と呼ばれます。尖圭コンジローマを起こすのは、良性型ウィルスの6型と11型です。
 症状は、陰部の皮膚において乳頭状、鶏冠状と呼ばれるいぼ状の集まりが出現します。通常痛みなどはありません。
 コンジローマの範囲が小さい場合は、液体窒素による冷凍凝固術、電気メスによる焼灼術、薬液の塗布による治療などを行います。広範囲にある場合は、その皮膚を含めて切除する場合もあります。

Q&Aに戻る